第2回

日高哲志

40歳・クラリネット講師・兵庫県出身・1997年からドイツ在住

 

最初は音大生として、現在はクラリネットを教える講師としてドイツに15年間住んでいる日高哲志さん。ヴァイマルやフレンスブルグという小都市を転々とした後、ロマンチック街道の中世都市アウグスブルグへ移住。音楽一本でフリーランサーとして自活している姿はとてもたくましく、大学時代から積んできたキャリアを生かしている。

 

ー日高さんはドイツへ来る前は何をなさっていたのですか?

東京音楽大学の学生でした。13歳から始めたクラリネットを専攻していました。卒業後もドイツに留学するために2年間プライベートレッスンを受けていたほど、クラリネットに夢中でした。

 

ードイツに行きたいと思ったきっかけを教えてください。

高校時代、プライベートで僕にクラリネットを教えてくれた先生がドイツ滞在経験者でした。ドイツのオーケストラで10年ほど働いたことがある方で、いろいろ話を聞くうちに自然とドイツに興味を持ち、留学したい気持ちが高まりました。

 

ーそれでまずヴァイマルへ?

はい。ドイツの音楽大学には楽器は関係なく、アーティストを育成する専門教育課程(Künstlerische Ausbildung)とその楽器専門の教師になるための課程(Instrumental-pädagogische Ausbildung)があります。ヴァイマル音楽大学には5年間通い、アーティスト教育を受けました。

 

ーヴァイマルでの生活は楽しかったですか?

楽しいといえば、楽しかったです。いろんな学校がある学生の町ですからね。学生の友達がたくさんできました。でも普段は練習漬けで家と学校の行き来。人口7万人の小さな町だから、遊ぶ場所があまりありませんでしたね。

 

ードイツ語はいつから勉強されたのですか?

留学する前に日本で少し始めたけれど、現地では全く役に立ちませんでした(苦笑)ヴァイマルでは語学学校に通いつつ、ドイツ語会話はたまに夜遊びする時に覚えました。ドイツ人とアンサンブルを組むことになってから、そのメンバーとの付き合いで、少し上達しました。

でも、実はアウグスブルグに来てからの方が上手くなりましたね。毎週、音楽関係の仲間たちと飲み歩いているから(笑)

 

ーヴァイマルの後はアウグスブルグへ移住?

いえ、1年間インターンシップ生としてフレンスブルグの劇場で働きました。卒業後、オーケストラの入団試験を数か所で受けて、オファーをいただいたのがきっかけです。

 

ー2003年からはずっとアウグスブルグ在住ですよね。アウグスブルグでは何をされていたのですか?

今はアウグスブルグ大学音楽学部と呼ばれていますが、当時は総合大学とは別に音楽大学があり、そこの大学院のようなクラスに入りました。ドイツ語ではマイスタークラッセ(Meisterklasse)といいます。マイスタークラッセは2年で終了しました。せっかくまた学生になったのだから、この際他の学位も取ろうと思い、先ほど説明したクラリネットの教育課程(Instrumentalpädagogische Ausbildung)に進みました。更に指揮の勉強も少ししました。細かいですが、まとめると小学校より長く大学に在籍していたことになります(笑)

 

ー長期の大学生活はドイツではよくあることですよ(笑)実際、最後に取得した学位が今の講師の仕事に生かされているから良かったですね。

そうですね。そのおかげで現在5つの音楽学校でクラリネットの非常勤講師として勤めています。子供を中心にブラスバンドの指導をしています。個人レッスンで大人に教えることもあります。

 

ークラリネットは人気がある楽器ですか?

需要はありますね。特にバイエルン州の田舎ではブラスオーケストラが盛んで、小さな村に行ってもその地域のバンドが存在するのです。バンドの中で一番多い楽器がクラリネットです。

 

ーなるほど。日高さんが用意してくださった職務履歴書を見ると、勤めている音楽学校はどれも郊外にある学校ですね。

月曜日から金曜日までいろんな場所でレッスンがあります。車でアウグスブルグを出て、田舎出張を繰り返しています(笑)毎週、運転距離は500キロメートルに及びますよ。

 

ーフリーランスとして仕事を探すのは大変ですか?

最初に務めたキュッツ音楽学校(Musikschule Kötz、西バイエルンのギュンツブルグ周辺)での指導はアウグスブルグの大学に入学してからずっと続けています。当時、教授に講師の仕事を紹介してもらいました。キュッツ音楽学校や大学の仲間たちを通じてコネクションも増え、お誘いがあれば仕事は受けています。時間帯が合わなく働けない限り、仕事を断ったことはありません。

 

ーご自身の他にドイツで音楽を学び、社会人になった日本人の方をご存知ですか?

どこかのオーケストラに入団した人や大学の講師になった人は知っています。そういう人達はドイツに長居しますよね。僕のようにフリーランスで残っている人はあまりいないのではないでしょうか。ビザの関係で滞在が難しいケースがありますからね。

 

ー日高さんは本帰国しようと思ったことはありますか?

いえ、まだないです。年に一度、一時帰国するから日本が恋しくなることもありません。正直、日本で非常勤講師として今と同じ条件と労働時間で働くと食べていけませんしね。ドイツで今までやってきた仕事が多大に評価されている、とは思いませんが、幸い今までどこもクビにならずに続けられているので、これからもこうして仕事をしていきたいです。

 

ードイツにとても馴染んでいるようですしね(笑)

うーん、「ドイツのここが好き!」という点はないけれど、きっとこの国と波長が合うのでしょうね。アウグスブルグの適当に田舎な雰囲気も好きです。ミュンヘンやベルリンは僕には大きすぎると思います。

 

ーアウグスブルグでお気に入りの場所はありますか?

Haifischbar(ハイフィッシュバー)には7年前から毎週通っています。

 

ーえっ、意外!Haifischbarはまさに学生の溜り場ですよね!私も数回行ったことがあります(笑)

元々、大学の授業後に仲間と飲みに行っていたのですが、今でも待ち合わせをすることなくHaifischbarで集まりますよ。

 

ー最後にこれからドイツへ行こうとしている人に一言お願いします!

ドイツへ来ると初めはいろんなことを不便に感じるかもしれません。例えば、日曜日にお店が閉まっていること。日本人にとって日本以上に便利な国はないでしょう。ドイツの習慣には慣れてしまえば平気です。僕の場合、渡独した時は土曜日の午後2時までしか買い物ができず、今では8時までに延長されて便利になったと実感しています。

 

 

 

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