ドイツ語のビジネス講座
ありがたいことにドイツ語の言い回しや口語表現を紹介する「ドイツ語の裏技講座」が好評なため、2019年から新しい連載を始めることにいたしました。名付けて「ドイツ語のビジネス講座」。一言で言えば、ビジネスドイツ語のコーナーになります。しかし、メールの書き方などを学ぶのではなく、業種を問わず、上司・同僚・顧客などとの会話で使える単語や表現を例文と共に取り上げます。
<内容につきまして>
・毎回一つのテーマを取り上げます。
・例文はすべて丁寧語(Sie)で作成されています。ただ、ドイツ企業では上下関係を気にせずduで呼び合う風習があることも念頭に置いてください。
・会話例で登場するFはFrage(質問)、AはAntwort(返事)を意味します。
・<お役立ち単語>では例文で登場した覚えておきたい単語をまとめています。
普段仕事でドイツ語を使っていらっしゃる方。「こんなことを言ってみたいが、上手く言葉にできない」などお悩みでしたら、お問い合わせフォームからご連絡ください。また、更新は不定期なので、報告を受けたい方は、ぜひ当サイトのフェイスブックかツイッターをフォロー下さい。
Nr.3 反対の意思表明
前回は賛成の意思表明を取り上げました。今回は逆に相手の提案やアイディアを疑問に思い、賛同できない場合の表現方法を学びましょう。
単刀直入に”Ich finde diese Idee schlecht.“(このアイディアは悪いと思います)と言うよりも、相手を傷つけない言い方をするドイツ人は多いです。(裏で他人をストレートに批判する人もいますが。苦笑)
まずは簡単に誰かと打合せの日程を決めるシーンから。
A: Haben Sie diesen Dienstag Zeit?(この火曜日はお時間ございますか?)
B: Leider nein. Wie wäre es am Mittwochvormittag?(残念ながらございません。水曜日の午前中はいかがでしょうか。)
A: Das kann ich nicht wahrnehmen. Ich bin den ganzen Tag unterwegs.(それは承諾できません。その日は一日中、外出しています。)
"Leider nein."は「残念ながらいいえ」ということですが、丁寧な断わり方です。文内にleider(残念ながら)が入ると自然に申し訳なさが伝わります。
"Das kann ich nicht wahrnehmen."のwahrnehmenの意味は下の<お役立ち単語>で説明します。予定の話でよく利用される単語なので、ぜひ使ってみてください。
それでは別のシーンに移りましょう。
例えば、顧客にあるサービスを提案したくプレゼンテーションを用意するとします。上司が部下が書きまとめた資料を見て、いくつかの変更点(批判)を言います。
A: Die Präsentation ist gut strukturiert. Aber der Punkt 2 ist zu schwach. Wir brauchen mehr aussagekräftige Argumente.
(このプレゼンテーションはよく構成されている。でも2点目は弱すぎる。もっと説得力のある主張が必要だ。)
B: Ich finde das genannte Budget zu knapp und unrealistisch.
(記述されている予算はぎりぎりで非現実的だと思う。)
C: Ich glaube Sie haben das Service, das wir anbieten möchten, nicht ganz verstanden. Die Punkte 2 und 3 müssen komplett überarbeitet werden.
(君は私達が提案したいサービスをしっかり理解していないだろう。2点と3点は全て書き直さないといけない。)
各例文の説明:
A:初めに全体のプレゼンテーションを褒め、その後に変更点を述べます。Schwach(弱い)とstark(強い)は内容の説得力を示すためによく使われる形容詞です。
B:Knapp(ぎりぎり)はお金、時間、人数等が足りない時に使います。
C:3つの意見の中で一番きつい言い方です。Sie haben X nicht verstanden(あなたはXを理解していない)は言わば勉強不足ということですね。Komplett (全て、完全に)直さないといけないと強調しているのも不満を表しています。
<お役立ち単語>
wahrnehmen |
知覚する、気づく。Den Termin wahrnehmen は約束の日程を承諾するという意味 |
aussagekräftig |
説得力のある |
knapp |
ぎりぎり、かろうじて |
unrealistisch |
非現実的 |
komplett überarbeiten |
全てやり直す |
Nr.2 賛成の意思表明
相手の提案やアイディアを良いと思い、同意する表現方法は色々あります。
まずは簡単な表現から。とにかく賛同している場合に使えます。
Ich finde Ihre Idee (sehr) gut.
(あなたのアイディアは(とても)良いと思います。)
賛同するが、まだ疑問点も残るのならば・・・
Grundsätzlich bin ich damit einverstanden. Aber über X sollten wir noch sprechen.
(基本的に同意します。しかし、Xについてはまだ話し合うべきです。)
(*Xには例えば期限や予算が当てはまります。Grundsätzlichの他に、im Prinzipもしくはprinzipiellも使えます。)
他にも状況に応じて、このように賛成の意思を表せます。
Ihren Vorschlag halte ich für realistisch/machbar.
(あなたの提案は現実的/実現可能と見なします。)
Wir machen es so, wie Sie vorgeschlagen haben.
(あなたの提案通りに行いましょう。)
<お役立ち単語>
grundsätzlich/im Prinzip/prinzipiell |
基本的に |
für X halten |
Xだと見なす(X=形容詞) |
realistisch |
現実的 |
machbar |
(することが)できる、実現可能 |
Nr.1 仕事を頼みたい相手に手が空いているか聞きたい
直球な聞き方は
Haben Sie gerade Zeit?
(今、時間ありますか?)
もう少し様子を伺って尋ねたいのなら、
Sind Sie gerade eingespannt?
(今、お取り込み中ですか?)
Haben Sie noch Kapazitäten diese Aufgabe zu erledigen?
(この課題をこなすキャパシティはありますか?)
と聞くとより丁寧になります。
会話例:
F: Haben Sie gerade Zeit?
A: In einer halben Stunde wäre ich mit der jetzigen Aufgabe fertig.
(30分後に今のタスクが終わります。)
F: Sind Sie gerade eingespannt?
A: Leider ja. Meine To do-Liste ist sehr lang.
(はい、残念ながら。私のトゥドゥーリストは長いです。)
F: Haben Sie noch Kapazitäten diese Aufgabe zu erledigen?
A: Heute nicht mehr, aber morgen hätte ich Zeit. Um was geht es denn?
(今日はもう無理ですが、明日なら時間があります。何についてですか?)
<お役立ち単語>
einspannen | 仕事に駆り出す、動員する |
die Kapazität |
容量、(仕事においては余裕とも言えます) |
die To do-Liste |
やるべきことを羅列したリスト(ドイツ語と英語を掛けた単語) |
クレジットカードは海外旅行には欠かせないもの。現地通貨を十分用意していたとしても、念のために持っていた方が安心します。ドイツ旅行に関していえば、ドイツはクレジットカード社会ではありません。